脂肪注入

脂肪注入のポイント

「自分自身」の組織で悩みを改善できる脂肪注入

脂肪注入は、自分の脂肪組織を不要なところ(お腹や二の腕、内腿等)から必要なところ(法令線や目の下等)に移動させて、くぼみを改善する治療です。
ヒアルロン酸やコラーゲン等の製剤を注入するのではなく、「自分自身」の組織で悩みを改善できるところが大きなメリットです。安定した脂肪は、病気やダイエット等で極端に体重が減らなければ一生残ります。
一方で、脂肪注入の問題点の一つとして、「どのくらい残るのか」と言う点があげられます。注入した脂肪のうち100%がそのまま残ってくぼみを改善するわけではありません。まず3か月、その後ゆっくり半年から1年程度かけて一部が徐々に吸収されて減ってしまいます。どの程度残るかは大きく異なり、ほぼなくなってしまう程度から7、8割しっかり残る程度まで、脂肪処理の方法や注入方法によって、かなり変わります。当院では注入された脂肪が可能な限り残るように様々な努力をしております。

適切な処理や注入方法が行われなかった場合

適切な処理や注入方法が行われないと、注入した脂肪は吸収されてほとんどなくなり、くぼみが再び現れます。

適切に処理や注入方法が行われた場合

適切に処理や注入方法が行われた場合、注入した脂肪量の減少は少なくなり、くぼみもでてきません。

当院院長は研究で培った知識と実績をもとに施術を行っています。

1)そもそも脂肪とはなにか。

脂肪とは

二の腕や、頬をつまんで、「ここのお肉がいらないんですよね。」ということをよく伺います。そのつまんでいる皮膚と皮膚の間には、皮下脂肪が入っています。
「皮膚」の「下」にあるので「皮下脂肪」です。
右記の写真をご覧ください。これは皮膚と皮下脂肪の断面です。
白い部分が皮膚です。その下の黄色い部分が皮下脂肪です。
毛が皮膚を貫通しています。
皮下脂肪の一部を拡大してみますと、毛に重なる部分にイクラのような水玉があります(赤三角印)。このイクラのようにみえる一つ一つの粒が「脂肪細胞」です。イクラのように膨らんで、この中に油滴(オイル)を蓄えています。食べ過ぎで余った油はこのように脂肪細胞一つ一つに収納されているわけです。

一つ一つの脂肪細胞は毛細血管に接しており、酸素と栄養を得て生きています。
この脂肪細胞がたくさん集まり、線維組織や血管を含んだ一塊を「脂肪組織」と言います。

2)「脂肪吸引」とは何か?

上記で説明しました「皮下脂肪」をカニューレといって専用のストローのような医療機器で脂肪組織を吸い込みます。ちょうど掃除機で吸い込むように粒々を丸ごと吸い込んでいきます。

3)「脂肪注入」とは何か?

脂肪注入とは

脂肪注入は正確に言うと「遊離脂肪組織移植」といいます。酸素や栄養をもらっていた血管から完全に切り離された状態(「遊離」と言います)の脂肪組織(脂肪細胞の集まり)を移植するわけです。

ではどのようにして移植するのでしょうか?
一般的には注入によって行います。「遊離脂肪組織移植」は「脂肪注入」と言われています。

①どのような状態の脂肪組織を注入したらよいのか?
②どのような方法で脂肪組織を注入したらよいのか?

これらが注入された部位のボリュームが減らないための「脂肪注入」のキーポイントとなります。

 
①どのような状態の脂肪組織を注入したらよいのか?
吸入直後の脂肪/遠心分離後の脂肪

フィルターで不純物を取り除く

遠心分離やフィルターを用いて脂肪組織のみを注入します。

脂肪吸引は、脂肪組織に麻酔薬や生理食塩水を注入して行われます。また、その際出血等が起こります。このため、吸引された脂肪組織内には脂肪組織以外に、麻酔薬や生理食塩水等、脂肪組織以外のものが多数混入しています。
左記の写真を参照
左は吸引直後の脂肪組織です。一見全部が脂肪組織のように見えますが、遠心分離を行うと、右の写真のように血液、麻酔薬や生理食塩水、脂肪組織と3層に分かれます。

脂肪組織部分は全体の1/3~1/4しかありません。
3層に分かれたうち、血液と麻酔薬+生理食塩水の部分は、注入してもすぐに吸収されてしまいます。ただ吸引して注入するだけでは、最初から半分以上なくなることを前提とした注入となってしまいます。脂肪組織以外は除去し、純粋な脂肪組織部分のみを注入として使用することが、適切な脂肪注入の第一のステップです。

当院ではこの処理過程にアメリカFDA認可の「LIPOMAX-SC」という遠心分離機を用いています。この機械による分離過程を経て、「コンデンスリッチファット」と呼ばれる不純物を取り除き濃縮された脂肪組織を注入し、定着率を高めています。

②どのような方法で脂肪組織を注入したらよいのか?
注入されて脂肪細胞のほとんどは死滅する

注入された一部は、脂肪由来幹細胞が脂肪細胞になって置き換わる(リモデリング)

できるだけ細かく丁寧に注入することが重要です。

なぜできるだけ細かく丁寧に注入することが重要なのでしょうか。
その理由を理解するためには、注入された脂肪組織はどのような経過をたどるのかを理解する必要があります。
動物実験で注入された脂肪の経過を調べてみました。

<注入されて脂肪細胞のほとんどは死滅する>
脂肪吸引される前の脂肪は、脂肪組織内の一つ一つの脂肪細胞は、毛細血管によって酸素や栄養をもらっているので、脂肪組織の塊の中の方までしっかりと生きています。生きた脂肪細胞の部分は赤く示されています。一塊の脂肪組織内の全ての脂肪細胞が生きているので、一様に赤く染まっています。(右図参照)
脂肪吸引を行うと毛細血管が分断され、体外に排出されてしまうため、血流がなくなり、酸素と栄養が行き届かなくなります。
言うなれば絶飲絶食、で息を止めているような状態です。吸引した脂肪組織をすぐに注入して体内に戻しますが、すぐに毛細血管が再生されて、脂肪組織の奥まで酸素と栄養が行きわたるわけではありません。表面部分から染み込んだわずかな酸素と栄養分を得られた、表面部分のわずかな脂肪細胞のみが生き残ることができています。表層から約300μm、0.3mm程度までです。これは例えると、満員電車に押し込まれて、窓際はなんとか一息つけても、奥の方はぎゅうぎゅうで気分が悪くなって倒れてしまうのと似ています。
「注入後1日目の図」
赤い部分は表面のわずかな部分しか染まっていません。内側の黄色い部分に死に始めている脂肪細胞です。黒い部分が完全に死んでしまった脂肪細胞です。
「注入後2,3日目」
完全に死んでしまった黒部分が増えています。
「注入後5,7日目」
表面以外の内側の脂肪細胞がほぼ死滅していました。つまり、小さな塊でなく、大きな塊を注入してしまうと、内側の脂肪細胞はほとんど死滅してしまうので、小さく細かく丁寧に注入する必要があるわけです。
これらの詳細は論文として投稿されています。
注入後14日目をみてみましょう。赤い部分が厚くなっています。
これはどういうことでしょうか。

<注入された一部は、脂肪由来幹細胞が脂肪細胞になって置き換わる(リモデリング)>
右図参照

移植した脂肪組織の塊です。移植後4週間が経過しています。
緑色の部分は生きた脂肪細胞の部分です。表層部分は緑色に染まり、生きています。内側は黒くなり死滅しています。
拡大した図を見てみましょう。左端を見てください。ある程度大きな緑色の丸一つ一つが生きている脂肪細胞です(赤三角)。右半分をみると、小さな緑丸がいくつもあることがわかります(黄三角)。これは脂肪由来幹細胞(Adipose derived stem cell以下「ASC」)が脂肪細胞に分化(わかりやすく言うと「成長した状態」)している最中と言えます。脂肪由来幹細胞(ASC)とは、細胞の中でも骨、軟骨、脂肪等に分化(成長)できる、グレードの高い細胞です。この脂肪由来幹細胞が、表層から少し奥の部分でどんどん脂肪細胞になり、スペースを埋めていくことになります。次の世代の脂肪細胞に置き換わる、「リモデリング」が起きるわけです。脂肪由来幹細胞は、脂肪細胞よりは低酸素、低栄養状態に強いので、少し奥の方でも生き延びることができます。
これらに関する詳細は論文として投稿しています。

脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生き残る注入、直径約3mm弱程度の注入が必要である

<脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生き残る注入、直径約3mm弱程度の注入が必要である>

これまでの内容をまとめますと、注入(移植)される脂肪組織は、表層から3層に分けられ、最も表層では、酸素と栄養が染み込み、脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生き残ることができます。この厚みはおよそ300μm,0.3mm程度でした。その少し内側では、脂肪細胞は死滅してしまいますが、脂肪由来幹細胞は生き残ります。生き残った脂肪由来幹細胞のほとんどは脂肪細胞に成長し、次の世代の脂肪細胞に置き換わります。表層から約1.5mm程度まででおこります。それより更に内側では脂肪細胞も脂肪由来幹細胞も死んでしまうので再生は起こらず、ゆっくりと吸収されたり線維化等になります。

以上のことから、脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が可能な限り生き残る注入方法がベストであると考えられます。 フィルターや遠心分離等の脂肪処理を行っても、最終的に注入手技が正しくなければ良い結果を望めません。

脂肪注入の施術について

<頬を注入する時のポイント>

脂肪注入の良し悪しは「ボリュームが保たれているか」という「量の維持」の問題と「しこり等ができていないか」等の「質の良さ」で決まります。触っても柔らかで、時間が経過しても注入したボリュームが保たれていればよい脂肪注入と言えるでしょう。
良い脂肪注入を実現するには、適切な注入方法がとても重要です。論文では直径約3㎜程度の脂肪であれば、脂肪組織のおおよそ中心まで生着と再生が起こり、脂肪細胞と脂肪由来幹細胞の死滅を最小限に抑えられることがわかりました。
そこで当院の脂肪注入で注入では細いカニューレを用いて、直径3㎜程度の粒状もしくは棒状に、且つ様々な深さに分散させて注入します。注入された脂肪組織内のほとんどの脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生着と再生することができ、しこり等がない質の高い、注入されたボリュームが維持される脂肪注入が可能となります。

頬を注入する時のポイント
3mm以下の注入カニューレを使用する

脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生き残ることができる表層の深さは1.5mm、すなわち直径3mm程度までなら中心部まで生き残ることができると考えられます。そこで、当院では脂肪を注入する道具と入れ方を以下のように工夫しています。

カニューレとは注入用のストローのような医療器具です。このカニューレを用いて注入を行いますが、カニューレの直径が3mm以上になると、注入された脂肪の直径も3mm以上になってしまうので、中心部の脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が死んでしまいます。
直径3mm以下のカニューレを使用することで、中心部まで脂肪細胞は生き残り、生き残った脂肪由来幹細胞は脂肪細胞に成長することができます。

細いカニューレ
細いカニューレ
カニューレの直径が小さいと注入される脂肪の直径も小さくなり、中心部分まで酸素と栄養がとどくので、脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が生き残ることができる。
太いカニューレ
太いカニューレ
カニューレの直径が大きいと注入される脂肪の直径も大きくなり、中心部分は脂肪細胞と脂肪由来幹細胞が死んでしまう。
塊で入れず、分散して注入する

3mm以下のカニューレを用いても、一か所に大量に注入しては意味がありません。いわゆる「局所大量注入」と言う方法です。これでは注入された脂肪組織の中心部の脂肪細胞や脂肪由来幹細胞が死んでしまいます。カニューレで注入する際、脂肪は棒状に注入されますが、直径3mm程度の棒を、分散させて移植することが重要です。

塊で入れず、分散して注入する

当院では以上のことにこだわって脂肪注入を行っております。

脂肪注入の流れ

脂肪吸引はどの部位でも行うことができますが、下腹部を例に挙げて流れを見てみましょう

①麻酔
麻酔

脂肪注入部位に局所麻酔を行います。

②脂肪注入
脂肪注入

脂肪注入では皮膚を切ることはありません。注入なので、注射の針跡程度の傷しかつきません。
注入後、針孔には小さなテープをはります。

術前・術後の過ごし方

手術前

毎日飲む薬のある患者様(特に糖尿病のお薬や血液サラサラのお薬)は必ず申し出てください。
健康に注意し、不規則な生活はおやめください。

当日

時計、指輪、ネックレス、ピアス、ブレスレット等のアクセサリー類は外してください。

手術後

テープ 注射部位に小さなテープを貼ります。翌日お取りください。
洗顔/クレンジング 当日から可
メイク 翌日から可
シャワー 当日から可
入浴 1週間後から可
アルコール 1週間後から可
スポーツ 1週間後から可
タバコ 2週間後から可
飲み薬 すべて飲みきりましょう。鎮痛剤は抗炎症作用もあるので腫れが早く引きます。

※上記説明はあくまで一般的なもので、肌質・体質・症状等の個人差により差異がありうることをご理解下さい。